感染症と感染防止
感染症とは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症予防法)により、以下に区分されている
- 一類感染症
- 二類感染症
- 三類感染症
- 四類感染症
- 五類感染症
- 新型インフルエンザ等類感染症
- 指定感染症
- 新類感染症
このうち五類感染症以外の患者を扱った場合は、特異事案報告書を提出する
一類感染症(7疾病)
エボラ出血熱 クリミア・今後熱 ペスト、マークブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱、痘そう
二類感染症(6疾病)
急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、SARS、中東呼吸器症候群、鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ)
三類感染症(5疾病)
腸管出血性大腸菌感染症、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス
四類感染症(45疾病)
マラリア、ボツリアヌス症、ジカ熱など
感染を防ぐため気をつけなければならないこと
- 手指消毒の励行、感染症に適応したマスク・感染防止衣・ゴム手袋等の着装による感染源への接触防止、資器材の消毒の実施
- 二次感染を防ぐため、傷病者を扱った都度、車内及び式座の使用後消毒を確実に実施
- 傷病者の症状から感染症が疑われる場合は、搬送先医療機関の医師から情報を収集し、必要に応じて区・市町村と連携を図る
なお、知り得た情報が第三者に漏れることのないよう、プライバシーの保護に留意することが必要
消毒用資器材
消毒用エタノール
特性
- 多くの細菌、ウィルス、結核菌に有効
- そのままの使用が可能であり、緊急性の消毒剤として適している
- 毒性が低い
消毒上の注意事項
- 希釈しないで使用する
- 血液等が付着している器具等に用いる場合は十分に洗い落としてから使用する
- 広範囲又は長時間使用する場合は、蒸気の吸入に注意する
クレゾール石けん液
特性
- クレゾールの殺菌作用と石けんの清浄作用により強い消毒力を有する
- 結核菌及び汚物等の存在化でも有効に作用する
- 皮膚刺激及び強い臭気を有する
消毒上の注意事項
- 濃厚液が皮膚に付着した場合は、直ちに拭き取り石けん水と水でよく洗い流す
- ウィルスに対しては無効
- 塩化ベンザルコニウムと併用しない
塩化ベンザルコニウム
特性
- 逆性石けんとして最も普遍的な殺菌消毒剤
- 皮膚刺激が少ない
消毒上の注意事項
- 結核菌、嘔吐、尿便には効果がない
- 血液等が付着している器具等に用いる場合は十分に洗いおろしてから使用する
- クレゾール石けん液と併用しない
次亜塩素酸ナトリウム
特性
- 強い殺菌力を有する
- ウィルスに対して有効
- 塩素の臭気がある
消毒上の注意事項
- 結核菌に対しては無効
- 血液等が付着している器具等に用いる場合は十分に洗いおろしてから使用する
- 金属を腐食されるので器具等に使用する場合には注意
車内が汚染された場合
- 消毒剤による清拭、噴霧消毒の実施
- 流水による洗浄の実施
- 資器材が汚染された場合は、さらに消毒、滅菌の実施
実施上の注意点
- 車内で水漏れを避けなければならない場所は、消毒剤による清拭を行う
- 消毒を実施する時には、使い捨てのビニール手袋等を装着
感染防止用資器材
ビニール手袋
乗務員の手指に傷があるときや気道確保、心肺蘇生、止血処置等の応急手当を行う場合に用いる
着装基準
- 気道確保、酸素吸入、心肺蘇生等を行う場合
- 止血、創傷処置を行う場合
- 嘔吐、汚物処理を行う場合
マスク
止血処理、嘔吐処理を実施するときや、咳等からの感染防止を図る必要がある場合に用いる
取扱い上の留意事項
- 鼻部及び口を完全に覆うようにする
- 1回の使い捨てとし、再使用しない
- 湿気を避け、ほこりが付着しないように保管