介護職員初任者研修の授業では、介護関係ではなくても人生においてとてもためになることも多く教えてくれます。
人の欲求については、SNSの普及により一気に知られた承認欲求も出てきて、より興味が湧くと思います。
アメリカの心理学者マズローは、人間には5つの欲求があり、それに従って行動するという仮説をたて、その欲求を5つの階層で表しました。
1から5の欲求は、1→2→3→4→5の順番に高い次元となります。
三角形のピラミッド型で一番上が5番になり表現されます。
低い次元の欲求がある程度満たされないと、それよりも高い次元の欲求が発現しないといわれています。
低い次元の欲求が満たされることによって、次の段階への欲求が芽生え、それを満たすために新たな行動を起こすと考えられています。
1から4の欲求は足りないものを満たすという意味で欠乏欲求と呼ばれています。
足りないものを満たしていくことで、上の段階の欲求に進むことができます。
人間の本能に起因するものであり、人によって欲求に大きな差はなく、それぞれの段階である程度の満足を得られると次の段階に進みます。
欠乏欲求が満たされることによって5.自己実現欲求(成長欲求)が生じます。
時の実現をしたいために自己の才能、能力を活かして努力して実現しようとします。
このことが生きがいとなります。
生きていくために必要な食べ物、水、空気、睡眠などの欲求が生理的欲求。
本能的な欲求で命を維持するために必要な欲求。
生きていくためには安全が保障される必要があり、これを満たすための欲求。
自身に降りかかる危険、害、プライバシーの侵害、仕事があるなど。
この要求が満たされないと命の危機状況となり混乱が起きやすい状況になります。
この基本的な欲求が安定していないと、それ以上の欲求を求めようとはしないものです。
家族、家庭、コミュニティ、学校、会社、社会などの集団にいたい、愛情を与えられたいという欲求。
就職活動がうまくいかない、内定が出ない、受験に失敗したなどの状況は精神的に不安な状態です。
逆に内定がでたり、合格すると安心できるのは、所属・愛情欲求によるものとされています。
尊敬、役に立つ人と認められたい、称賛されたいという欲求。
集団やコミュニティなどで一員として認められたいが、これが認められないと疎外感や劣等感につながることがあります。
5つの階層の一番上にあるのが自己実現欲求・成長欲求。
成長欲求は満足するレベルに上限はなく人によって差があります。
欠乏欲求とは違い成長欲求は人の本能に起因しません。
生まれ育った環境、教育、社会、人間関係などに大きく影響されます。
自己実現欲求は、欠乏欲求の3、4の欲求が満たされた後に5番目の段階として生じるものです。
夢や希望やなりたい気持ちという高い目標をもち、豊かで充実感がもてる暮らしがしたいと願うようになります。
すべての人が高い次元の欲求をもつのではなく、自分が望む生活レベルの実現を願う人も多くいます。
欲求が完全に満たされなくても、ある程度、段階まで実現されれば、次の自己実現欲求が起きるとされています。
自己実現と生きがい
自己実現とは
自身が描いている自己を実現させるための努力や取り組み、過程をいいます。
自己実現を求めて行動しているとき、安全が脅かされ健康面の需要が高まると欠乏欲求を満たすことに集中します。
欠乏欲求が満たされれば、3、4の欲求を同じにもっていても不安定な状況になるといえ、5の欲求が生じるにならないと思われます。
生きがいとは
自分らしく生きる、自分で決めた生活の実現のために努力します。
それが次の目標や意欲につながっていき生きがいとなります。
障害や高齢によって自己実現欲求が持てない状況は、環境の影響や自身の考え方に左右された結果です。
障害や高齢になっても自己実現欲求をもち、実現のために努力できる環境が必要とされます。
生理欲求、安全・安定欲求の基本的欲求を満たすだけでは、その人らしく生きているとは言えないでしょう。